お坊さんが生命倫理を考える。


大学院で知り合った、宗派の先輩から誘われ、ボーズビーアンビシャス(BBA)の勉強会に参加する。
場所は、愛宕の青松寺。
すぐそばに東京タワーが見える東京の一等地にあるお寺。
ここはいつ来ても、その設備の広さと清潔感に感動する。
そのためか、いろいろな催しもので使われているとのこと。


さて、勉強会。
主題は「遺伝診療」。
今回は東京医科歯科大学の遺伝カウンセラーの先生をお呼びして、お話を聞いて議論するというもの。
宗教はあまり絡んでこなかったのがこちらとしては良かったが、会場の方は少々不完全燃焼の模様。
自分もそうだったけど(今もそうだが)、生命倫理のお話は多分に医療用語が散りばみ、ある程度の予備知識がないとついていけなくなる。
一応、継続して生命倫理の研究会に出席しているので、ある程度理解できたが、「遺伝診療」や診療の現場の話というはじめて聞くことが多く、たしかにわかりやすかったが、なかなか噛み砕くことは容易ではない話であった。


遺伝診療の多くの利用者は、30代以降で妊娠した女性。
35歳を超えると、やはり諸々の要因でなにかしらの障害を持った子どもが生まれやすいのだそうだ。
遺伝診療は、まだまだ発展途上の分野で、明確な治療法は解決していないが、なぜそのような障害を持った子どもが生まれるかという原因はある程度把握できるらしい。
自分自身の「気持ち」(あくまで「意見」ではない)としては、子どもを「選択」するという行為を行いたくないが、その場にたってのさまざまな条件(経済的・社会的要因)などがからんでこないとわからないのだと思う。





議論の方も、やはり難しい話であったこともあって重くなったが、個人的にはどうも腑に落ちなかった点もあって消化不良。
発題された先生が少子化の時代、このように子どもが生みづらくなって子どもを産むことにも慎重になっているとおっしゃっていたが、現代の少子化の問題は、経済的・社会的要因だけでなくこ、のように産む前から科学が介入し、選択できるようになったからではないかと思った。
経済的問題が少子化の一因ともいうが、そもそもこの診療は保険がもちろん適用されないので結構なお金がかかる。
とはいっても、子どもを育てるお金よりはかからないのもまた当然なのだが。